名古屋
会場

2012年3月25日(日)

愛知学院大学 楠元講堂            
お陰様で盛況に終了いたしました。

9:20 開場・受付開始
9:50 開会

10:00〜10:50
  『VISION ~Seeing true Colors and Pure form~』
  Lucent Dental Laboratory 瓜坂達也


審美の基準は人それぞれ異なる価値観を持っており、その数は無限である。多数歯におよぶ審美は確固としたゴールがないために、術者の押しつけになってしまうことがあり自己満足と言わざるを得ない。審美とは歯科医師、患者と共に真に美しい物を探し求めることが大切だと常に感じている。では少数歯補轍、シングルセントラルのケースなどはどうであろう。そこには確固とした審美が存在し、もしその審美にたどり着けないのなら、患者の幸せは訪れないであろう。
我々歯科技工士にとって少数歯補轍は、たとえFunction BiologyそしてStoractureを確立したとしても、審美不良いわゆる天然歯とポーセレンクラウンの色調が合わないという理由だけで再製作となる難しい仕事であることは間違いない。 シェードマッチングを困難なものにしているのは、シェードマッチングにはエラーになりうるポイントが多数存在するからである。
そのエラーを無くす意識をしてシェードマッチングに挑まなければ成功は得られないのは当然のことであり、何気なくシェードマッチングに挑むのであれば、色が合わないという同じ過ちを繰り返すことになるだろう。
シェードマッチングを困難にしているポイントを一つ一つクリアをしていく様を自身の臨床技工にシンクロさせて紹介したい。
1997年 島根県歯科技術専門学校歯科技工士科卒業
1998年 早稲田歯科技工トレーニングセンター 16期デイクラス卒業
1998年 株式会社 ケイテックス 入社
1999年 ツイン春次クリニック歯科 入社
2001年 大阪セラミックトレーニングセンター 16期週末コース卒業
2008年 あさの塾 5期卒業
2008年 Lucent Dental Laboratory 開業
2008年 新大阪歯科技工士専門学校専攻科非常勤講師
2011年 (株)松風テクニカルインストラクター

瓜坂達也
10:55〜11:45
  ~ここから始めよう。
   パーシャルデンチャー・オーバーデンチャーの機能と構造力学~
  『マテリアルの特性を十分に発揮させるその選択とラボワーク』
  (有)デンタル プログレッシブ 奥森健史


パーシャルデンチャーをデザインすると、一言に言ってもそれは決して容易ではない。
欠損している歯列に対し、残っている歯や歯周組織のどの部分に維持機構を設けるか、また、その残存歯の歯質の状態などドクターサイドからの、ベーシックデータをもとに、実際にマスターモデルを通じて立体化する知識は、重要となり“機能と構造力学”がポイントとなる。特に“力のコントロール”は、現在の日常臨床においては、“キーワード”である。また、広範囲における欠損補綴においての術式は、パーシャルデンチャー・インラント補綴あるいは、双方を組み合わせたインプラントデンチャーとその選択肢は、多岐にわたるがその失った部分への、補綴治療におけるガイドラインの指標は、同じゴールを目指すものである。
従来、パーシャルデンチャーとは、残存歯に間違った負荷をかけず、歯列単位を一体化することをデザインするものである。また、患者が取り外しする可撤式装置ともなれば、装着脱の考察も必要となり、なにより口腔内にて、装着されてから“劇的に機能する”補綴装置を目指すものである。そこで今回は、無数に考えられる、欠損歯列に対して、その症例に最たるデザインを立体化する方程式を公開したいと思う。維持装置を含むパーシャルデンチャーデザインは、もともと生体には存在しないもの{維持装置や各コネクターなど}を、構築していくセクションであるがゆえ、その基本概念は重要になることはいうまでもなく、欠損補綴の指標でもある。今回は“デザイン”という部分をどうマテリアルにて表現するかを重点的に考察すると共にインプラント支持によるオーバーデンチャーデザインも提示したい。インプラントとパーシャルデンチャーは決して対岸に立つものではなく、双方が融合されたものがインプラントデンチャーである。しかしそれにはいくつもの“落とし穴”が存在することに注意する必要もある。今一度、高齢化を支えてきた欠損補綴の基本となるパーシャルデンチャーの“機能的考察”および“構造力学的考察”に目を向け、各マテリアルのもつ特性を生かしたパーシャルデンチャーとインプラントオーバーデンチャーについて検討したい。

最後に、東日本大震災において被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますと共に、この度、復興支援チャリティ講演会・名古屋支部実行委員の山田和伸先生より熱きメッセージをいただき東日本再建の一助となるよう精一杯尽力を尽くしたい。
1984年 東洋医療専門学校卒業
1992年 渡独 ハイデルベルグ
2000年 有限会社デンタル・プログレッシブ 開設・・・現在に至る

咬合・補綴治療計画セミナー インストラクター
大阪大学歯学部付属病院 歯科技工スーパーバイザー
日本補綴構造設計士協会 師範講師
KSI研修企画・奥森セミナー 主宰
古希の会メンバー
大阪SJCD会員

奥森健史
11:50〜12:50
  『審美修復治療へのアプローチ』
  東京都世田谷区開業 高橋 登


補綴修復歯科治療の目的は、生命活動に調和した機能回復を実現すること、可能な限り永続的な機能継続をめざすこと、患者の希望する審美性を演出すること、などを臨床において実体化ことである。
われわれ歯科関係者は、意識せざるともその目標に向かって日々努力と研鑽を繰り返すこととなる。
目的達成のためにメタル、セラミックス、コンポ ジットレジンなどさまざまなマテ リアルが補綴修復治療に活用されるが、コンポジットレジンやセラミックスはその審美性が注目されてきたが、この20年で革新的発展を遂げたエナメル・デンティンボンディングテクノロジーや高強度セラミックスの出現に支えられ、機能面において飛躍的な補強が図られた。
機能的マテ リアルとしての第一選択枝として推奨できるレベルにあることは、もはや間違いないだろう。
機能的で審美的修復物をセラミックス・コンポジットレジンを応用して完成しようとすれば、診療各ステップにおいて、妥協なきオペレーションを 行いたい。
最優先すべきは機能的成功を遂げるための配慮にある。その上で患者の希望する審美性を実現するエッセンスについてディスカッションしたい。
1990年 東京医科歯科大学卒業
1999年 Active member of American prosthodontic society
2004年 Member of American Academy of Cosmetic Dentistry
2004年 東京医科歯科大学客員臨床講師
2007年 東京医科歯科大学非常勤講師
2008年 Vice-prsident of design technique international

高橋 登
13:50〜14:50
  『形態の極』
  (有)デンタル・クリエーション・アート 西村好美


天然歯牙は口腔内において、それぞれ果たすべき役割に応じた形態を備え、排列にも基準と法則がある。1本1本はあるべきところにあり、それらを取り囲む組織と微妙なバランスを保っている。また、いくら天然歯牙の形態を完璧に模倣できたとしても臨床においては、その模倣だけでは通用しないのも現実である。
これらを念頭におき補綴物治療を成功に導く為には、口腔内における天然歯牙の果たすべき役割に応じた補綴物形態が考慮され、審美的表現がなされている必要があると考える。それらが何なのか─
そこで今回は私の臨床経験から得た、天然歯牙の果たすべき役割に応じた補綴物形態の表現についての考え方、また、その具体的な表現方法について講演したいと思う。
 

西村好美
15:00〜15:20
  チャリティー・オークション 【画像クリックで詳細確認】

   片岡先生瑪瑙パレット 片岡先生歯根付きポーセレン 奥森先生ミニチュア金属床 山田先生中切歯サンプル
   青嶋先生の書籍 大谷先生のDVD、サンプル 湯浅先生 上顎フルマウスカービング 瓜坂先生 ポーセレン4本ブリッジ
  No.1/片岡繁夫「瑪瑙ポーセレンパレット」
  No.2/片岡繁夫「歯根付きポーセレン/下顎前歯3本」
  No.3/奥森健史「ミニチュア金属床/PGAゴールド」
  No.4/山田和伸「中切歯2本サンプル・瑪瑙板・筆 セット」
  No.5/(株)モリタ「Ceramics Example」青嶋 仁著/サイン入り
  No.6/大谷一紀 「"2 LAYER RESTORARIONS-The Natural Layering Concept」
           Dr Didier Dietschi/DVD、ダイレクトベニア自作ステップモデル
  No.7/湯淺直人「上顎フルマウスカービング」
          ※写真は製作途中のもので完成時とは多少異なります。
  No.8/瓜坂達也「ポーセレン上顎右側4本ブリッジ」
  No.9/西村好美「歯根付きポーセレン」



15:20〜16:00
  『オールセラミックス用フレーム材強度の再考、
   及びジルコニアセラミックスの徐冷操作とその効果について』
  M.YAMAMOTO CERAMIST'S INC. 山本 眞


西暦2000年に国内でノーベルバイオケア社によるProceraシステムが発売され、アルミナ高密度焼結体のフレームが日本の歯科業界に導入された。ほどなくイットリア添加型の部分安定化ジルコニア高密度焼結体のフレームも各社から提供されるようになり、以来この10年間、猛烈なスピードでこれらのオールセラミックスシステムが業界を席巻してきた。
このような中、ジルコニアセラミックスの臨床応用頻度の高まりに比例するかのように、ジルコニアセラミックスに焼付けた陶材が破析するトラブルに見舞われている臨床家の声を耳にするようになり、殊に臼歯部やロングスパンのブリッジにジルコニアセラミックスを使うことを疑問視するような傾向になっている。
もともと、アルミナやジルコニアの高密度焼結体は曲げ強度や破壊靭性が非常に高く、従来の分散強化型セラミックスの数倍もあり、強度が高いと言われていた仮焼結・ガラス含浸型セラミックスに比べても2倍以上もあり、十分すぎるほど高強度であるから、安心して臨床に供せるという触れ込みで導入された経緯がある。
私はこの曲げ強度や破壊靭性に疑問を持ち、ISO(国際標準化機構)の規格に準拠した『剥離・クラック発生強さ試験』を行い、このデータを元に、まったく異なった視点でフレーム材料の曲げ強度や破壊靭性の盲点を見いだしたので、これについて報告したい。
一方、最近になってジルコニアに焼付けた陶材が破折しやすいのは徐冷操作が行われないことが原因であるという報告も国内外を問わず散見されているが、徐冷操作についての的確な理論や明確な方法が述べられていない。私はガラス業界において古くからルーティン・ワークになっている徐冷理論を応用することで、ほぼ完全な応力開放が可能な徐冷方法を見いだし、この徐冷方法により、ジルコニアセラミックスの強度が高まることも実験によって確認できたので、これらについて報告したい。
また、これらの一連の実験から、現在の歯科用陶材の強度にも疑問を持つようになったことから、将来的に期待される材料や技法についても触れてみたい。
1970年 愛世会 愛歯技工専門学校卒業
1973年 大阪府歯科技工士会創立10周年記念大会作品コンクール最優秀会長賞受賞
1976年 第1回 国際歯科技工学会・第1回 IQSにて講演
1988年 歯科技工所 「M,YAMAMOTO CERAMIST’S INC.」 を開設
1988年 第2回国際歯科技工学術大会にて
1988年 「オパール効果をもつ新ポーセレン」を発表
1991年 ハーバード大学歯学部・補綴学教室より招聘、特別講座を開講
2002年 第4回日本国際歯科大会・2002QDTシンポジウムにて、
2002年 国際セラミック学会(ISC)より永年功労者表彰を受賞
2008年 The 8th dentalGO Meeting(イタリア・ナポリ)にて
2008年 “dentalGO MASTER-PRIZE”(功労賞) を受賞

『ザ・メタルセラミックス』
(金属焼付ポーセレン補綴物の製作技術専門書。1982年 (株)クインテッセンス出版)
『器械測色と新ポーセレンによる新しいシェードテイキングシステムと
 C.C.S.システムの提案』(1997年 Q・D・T)

山本 眞
16:05〜17:30
  『審美歯冠修復 〜より高い自然感を確実に得るために〜』
  大谷歯科クリニック 大谷一紀


歯冠修復には様々は治療法がありますが、本講演では保存的なアプローチであるDirect Bondingと審美歯冠修復のトリートメントオプションとして欠かせないオールセラミック修復について解説します。

<Direct Bonding>
短時間で高い自然感を得るための
(1)色再現の考え方
(2)シンプルなクラスⅣの積層コンセプト
(3)表面性状の与え方
について前歯部のクラスIV症例を中心に多くの臨床症例とともに
術式を紹介します。

<セラミック修復>
低侵襲で自然感のあるセラミック修復を成功させるための
(1)支台歯形成量の考察
(2)チェアサイドにおいて行うプロビジョナルレストレーションの
   製作と調整法
(3)コンタクトポイントの決定法
について考察します。
1997年 日本大学歯学部卒業
1997年 日本大学歯科補綴学教室III講座

日本歯科補綴学会専門医

  『審美歯冠修復 〜セラミック修復物製作における
                      確実性の追求〜』
  大谷歯科クリニック 湯淺直人

近年の審美歯冠修復においては、先覚者であるセラミストが築き上げた理論・術式の応用と、それらをもとに開発された材料を活用することにより、天然歯と調和した自然な修復物の製作が可能となった。
しかし同時に、修復物に対する患者や歯科医師の要望も相応に高まっている。この要望に応えるためには、より高度に天然歯に調和する修復物を製作する必要があるが、そこに確実性や術者再現性の高さがともわなければ臨床技工としての意義は薄れる。
そこで本講演では、色調面において多様な表情を見せる天然歯および天然歯列に確実に調和する修復物を製作するために考慮しなければならない基本的要件と、それを踏まえた修復物製作法を解説する。

大谷一紀 湯浅直人




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